2018年10月03日
やってはいけないタイムアライメントの調整の仕方

タイムアライメントを駆使してシステムを構築しようとするとき、事前に必ずやっておかないといけない作業、部材の要件等について書きたい思います。
これが満たされない状況でタイムアライメントを使おうとしても、うまくいくことはありません。ただでさえ難しいこの機能を少しでも使いやすくするためにお役に立てていただければ幸いです。
まずは、タイムアライメントとは何か?ということから書いていこうと思います。
理屈がわかれば後の調整もわかりやすくなります。
まず、音楽のデータには色々な音が入っています。
人間の耳は左右に二つ付いており、その二つの耳で聞くから立体感や遠近、そういった微妙な感覚を体感できるのですが、その人間の耳でリアルに音楽を聴こうと、音楽のデータには左右で別々の音が入っています。これがステレオです。
音楽を聴くうえで、通常は左右のスピーカーに距離の差があることは想定されません。自宅のオーディオやヘッドフォンで聴くことを想定して録音されています。
しかし、車の場合は右もしくは左に偏ったリスニングポジションになります。左右のスピーカーの真ん中に座って音楽を聴くことができないということです。
すると、耳に届く音に影響がありそうですね、ということで
車独特の、リスニングポジションをスピーカーの真ん中に用意することができない事情を解決するための技術としてタイムアライメントができました。
左右のスピーカーから耳までの距離が合わないのであれば、音を出すタイミングをずらして耳までの到達時間を合わせることで疑似的にスピーカーの真ん中の位置で聴いているような状況を作ればいいのではないか?ということです。
つまりスピーカー間の距離の差を、音を出すタイミングをずらすことで合わせる機能です。タイムアライメントは距離の差を埋めるもの、ということです。
ここまでで、タイムアライメントとは何かをご理解していただきました。
次に、システムを構築するときに確実にやっておかないとそもそもタイムアライメントが正しく機能しませんよ!ということを書いていきたいと思います。
まず、セパレートスピーカーを使うのであればバイアンプ仕様のものにするか、自分でクロスオーバーネットワークを構築してツイーターとミッドバススピーカーをバラバラに接続できるようにする必要があります。
それができないのであれば、タイムアライメントをつかわないか、コアキシャルスピーカーを使ってください。
なぜ、ツイーターとミッドバススピーカーがバラバラに接続される必要があるか?ということですが
ツイーターとミッドバススピーカーは設置する場所が違うからです。
設置する場所をわけることがセパレートの利点であったはずです。
この設置する場所が違うスピーカーの配線を同じにしてしまってタイムアライメントを合わせるとき。
何の距離を測ります?ミッドからです?ツイーターからです?
どちらかの距離しか反映ができないはずです。
すると、スピーカー間の距離の差を合わせる機能として、仕事を果たせません。
よくあるのが、フロントの出力からスピーカー付属のクロスオーバーネットワークに入力し、そのクロスオーバーネットワークからツイーターとミッドバスに入力して、ツイーターから耳までの距離を測ってその距離をフロントのタイムアライメントに反映させて、リアスピーカーからの距離を入力してリアのタイムアライメントに反映させる、みたいなのですが、
訳わからんことになっています。人間の耳は正直なので、その状況の音を聴くと、良い音には感じません。
なんだかうまくいかないや、タイムアライメントは難しいな、ということになるのです。
タイムアライメントは正しく構築されたシステムであれば調整は難しくありません。距離の差を埋めるだけなので、距離を測って入力するだけでもかなりの精度になります。そこから細かく耳に合うように調整すればもう十分でしょう。オートTAがついているならそれでいいです。正しく構築されていれば。
タイムアライメントを使ってシステムを構築しようとするなら、最初からそれを前提に部材も選ぶ必要があります。
バイアンプ対応でないセパレートスピーカーはタイムアライメント非対応と思った方がいいです。
これをバイアンプ用にできる知識をお持ちの方か、デジタルクロスオーバーで適切なシステム構築ができる方でなければタイムアライメント前提の場合は最初からバイアンプ対応のセパレートスピーカーを買うかコアキシャルスピーカーを買うべきです。
まとめとして、タイムアライメントを調整して良い音を手に入れるために必要な要件は、
・バイアンプ対応のセパレートスピーカーを買うか、コアキシャルスピーカーでシステム構築をするか、バイアンプ対応でないセパレートスピーカーをバイアンプ化するかして、スピーカー一つにたいしてきちんとアンプとタイムアライメントの調整の機能を1chずつ割り振ることができる状況で始める。
・タイムアライメントがきちんと調整できるヘッドユニットもしくはDSPユニットを選ぶ
以上です。
また、タイムアライメントを使ってシステム構築をお考えなのでしたら恐らく前方定位を実現したいという方が多いかと思います。
すると音の、位置の差、という概念も解決する必要があるかと思います。
位置の差の解決はタイムアライメントではできないため、その解決をどのようにするか?ということも重要です。
そのことについてはまた次の記事で書こうと思います。
音の位置の差はタイムアライメントでは埋まりませんので大変難しいですが、びしっと決まれば目の前にステージが広がって本当に気持ちの良いカーオーディオが出来上がります。
最近、Youtubeに動画をアップすることを覚えたので、車特有の環境でも役に立つ調整支援音源を用意しました。
音の位置が定まっているかどうか、確認できるものです。
人の声でまずは確認し、次に実際の音楽が流れるようになっています。
Aの位置からすべての音が聴こえるような状態になっていると、安定した定位で音楽が聴けると思います。
走行中もAの位置で量感豊かな低域から高域までまとまっていれば、とても楽しいドライブになるはずです。
もし、AとBがバラバラに聴こえていたり、今回多めに収録されているベースや打楽器の音がBから聴こえてくる状態だと走行中に
ステージが安定しなかったりする可能性があります。
もし、何か改善が必要だとお感じになりましたら
・スピーカーのクロスポイント付近の音をイコライザで上げたり下げたりする
・マルチアンプ接続にし、各スピーカーを独立して調整する。出力レベル等は非常に重要です。
等はすぐにできることとおもいますのでお試しください。
方法はたくさんありますが、ケースバイケースですので身近な慣れている方と、試行錯誤をお楽しみください。