2023年09月15日

【クロスオーバー】昔にずっと言っていたことを改めていいます

カーオーディオを難しくしている要因は、

・運転席が車室の中心から右か左かに寄っていて、そこがリスニングポジションにならざるを得ない
・スピーカーは多くの車で車室中央からみて左右対称(リスニングポジションから左右非対称)
・視界の確保が必要なために目線の高さに大きなスピーカーは置けない
・車両そのものの音がある
・リスニングポジションからスピーカーまでが近い
・スピーカーの周りは非常に音が跳ね返る

ざっと思いつくのがこれらで、他にもいっぱいあるんでしょうけれども、主なカーオーディオを難しくしている要因ではないかと思います。


リスニングポジションからみて、
・左右の話
片方は近く、片方は離れている
片方は自らの足のそばで音が鳴っている
・高低の話
ツイーターやスコーカーは耳の高さ
ウーファーは足元
・位置の話
サブウーファーはラゲッジ
・角度の話
各ユニットがバラバラです。
・距離の話
これも各ユニットがバラバラです。

そんな環境で、各ユニットがうまく混ざって一枚物の音を鳴らさないといけません。難しいと思います。

これを、なるべく難しくなく仕上げようとしたときにフロントステージを重視するカーオーディオで参考になる他の分野のオーディオは、
ニアフィールドリスニングのシステムやデスクトップのオーディオです。
大きなスピーカーは置けず、距離も近いという意味で参考にできる部分が多いです。

8cmとか10cmとかのウーファーと3cmくらいのツイーターの2wayとかでどうにかしたい
当然ですが低域は鳴らないわけですけれども、そうは言っても音楽の主要な帯域はこの2つのユニットで鳴っている訳です。
早く昔から言っていることを言えよ、ということですが
前方定位を簡単に実現するには目線の高さに設置できる良質な小型のスピーカーを置いてしまって、目線の高さで音楽の主要な帯域はここで鳴らしてしまうといいんではないですか?ということです。
足りない高域や低域はツイーターやドア、サブウーファーでいくらでも足す事ができます。

なぜ、こういう風にすると楽なのかはやってみればすぐわかりますし、試しにやってみていただけるようにオンダッシュスピーカーはすでに市場に1000個近く供給したかと思います。もっとでしょうか

難しい話をしないと納得しない方が多いと思いますので、難しい話をしますけれども

・周波数特性の話
良質な小型のスピーカーは周波数特性も良質です。スピーカー一個で鳴らす音でそこまで大きなピークディップはありません。あるとしても、複雑にクロスオーバーして訳わかんなくなった車両よりも素直な特性であろうと思います。
目線の高さに置けるようなサイズでは低域はほとんど鳴らず、自然にハイパスしているような状態であり複雑なクロスオーバーがそもそも要らない場合もあります。逆にサイズがサイズなので高域も伸びる場合が多いですから、好みとユニットの性能次第ではツイーターが要らず点音源思想に近いシステムを組むことができるかもしれません。
鳴らない低域はドアとサブウーファーで自然に足す程度に鳴らしておけば大きく失敗はしないはずです。

・位相特性の話
位相差というのは複数のスピーカーユニットの位置の差、距離の差で生じます(時間軸)し、クロスオーバーによってもずれて(位相の角度)いきます。
反射音も位相のズレた音です。響いた感じも適度に必要ですし、車室で各スピーカーの完全に位相がピッタリ合った音というのは厳密には聴くことが不可能です。

音楽の主要な帯域がひとつのスピーカーから出ているなら、音楽の主要な帯域に位相の合わない音は少なくなります。左右の距離差を埋めるだけでも結構良い感じになるでしょう。
で、これにツイーターを足すならクロスポイントは高くなります。高めの周波数でクロスできれば違和感は感じにくくなります。ここまでやってツイーターのゲインを合わせられればツイーターは耳に向けたほうが良いです。
ツイーターのカットが低いとか、ツイーターのゲインが合わせられないとか、目線の高さのツイーターとドアウーファーの2wayであれば耳に向けると先述した理由で難しい取り付けになります。

で、音楽の主要な帯域を鳴らす小型スピーカーにドアを足すならクロスポイントは下げられるはずです。
低域の処理は難しいですし、音の厚みにも関わる部分ですから、現実的にはドアはしっかりと鳴らしておかないといけないですがそれでも目線の高さで音楽の主要な帯域は鳴っている訳ですから、足すような形で混ざれば失敗はしにくいはずです。

周波数特性と位相特性を分けて書きましたがこれに違和感を感じた方は正しくて、本来は分けて考える必要はありません。

現在出品のEN-Z65.3PWやEN-Z65.3SQはいずれもこういった設計です。

運転席で聴くフロントステージのオーディオで、原音忠実をやるならシステムの限界の音量よりも先に耳が限界になるのが通常でしょうから、スコーカーにあたる小型のユニットはある程度広く帯域を持たせたほうが簡単に思います。

2wayで組むならまた別の話がありますので、うまく言語化できたらブログにしてみるかもしれません
Posted by 車音人 at 22:30