カーオーディオ特有の問題として、
サブウーファーを目の前に置けない
ということがあります。
Hi-Fiな再生を狙う場合には、どうしても前方に音を定位させ、自然なステージを再現する必要がありますが、
それに必要なサブウーファーはどうしても大型で、ラゲッジルームに置くしかないのが車の難しいところです。
ラゲッジに置いたサブウーファーの音を、どのようにして前に持ってきたらよいでしょうか。
それは、
1.ドアのミッドバスをしっかりと鳴らし、
2.適切な周波数でサブウーファーとクロスオーバーし、
3.適切な音量のバランスを保つ
ことで実現できます。
では、その1の、ドアのミッドバスをしっかりと鳴らすためには何が必要でしょうか。
まず、スピーカーユニットの選定が大切です。
有効振動板面積が広く、磁気回路が強靭で、重たいものを選んでください。振動板は軽くて硬いものが良いです。振動板を重く設計して重低域を稼ぐスピーカーはHi-Fiな再生を狙っていくときにはシステム造りを難しくしますので、振動板は軽いのがいいです。
例えば、
こんなの非常に良いです。
良いスピーカーを選定したら、
ドアのデッドニングをしっかりとやります。
重低域の再生には非常に大きなパワーがいります。
ですので、スピーカーの振動でほかの部分から音が出ないようにしっかりと制振しておきます。
また、ドアという環境では、どうしてもスピーカー背面の音が車室に漏れやすいです。
スピーカーから出る音は、
スピーカーの表から出る音と、
スピーカーの裏から出る音があります。
この、スピーカーの表の音と、裏から出る音は互いに打ち消し合いやすく、低い音になればなるほどその影響は顕著です。
つまり、スピーカーの裏の音が表に回り込まないようにしなければ、重低域の再生は狙えません。
裏の音が表に回り込んでは打ち消されてしまうからです。
これは、砂浜で走ろうとすると足の踏ん張りが砂に吸収されて、アスファルトの上を走るときと比べてうまく走れないのと似ています。
せっかく、振動板が音を出しても、裏側はその逆の動きをしているわけですから、表と裏で打ち消し合いが発生するということです。
ですので、サービスホールと呼ばれるドアの穴が開いている部分はふさぐ必要があります。
ここまで、スピーカーの取り付けを楽しみながらやると後の調整が非常に楽で、仕上がりの音も全然違います。
取り付けが済んだら、
2の適切な周波数でサブウーファーとクロスオーバーすることです。
よく、低域は指向性がないためにどこから鳴っていても同じというものがありますが、それが本当ならばこの記事にたどり着く方はいないはずです。サブウーファーが後ろから聴こえていてお悩みの方が多いからこそこの記事を書いています。
一部の例外的な楽器を除いては、楽器の最低音は40hzくらいに落ち着いています。例外的な楽器では耳に聴こえない帯域の音を出している楽器もありますが、オーディオで聴くようなものではなく、生でその荘厳さを感じるものなので省いています。
また、空間の音や床の軋みとかそういった素の音も重要なので、ドアのウーファーには30hz付近まで再生してもらいたいものです。
そして、それよりも低い帯域のみサブウーファーで鳴らしていくような感じでまとめると前方に重低音がまとまってきます。
非常に難題ではあります。ドアで30hzというのは結構キツいです。しかしできないものではありません。
30hzがきつくても、ドアで40hzまでちゃんと鳴らすことが出来ればかなりいいです。大体の楽器の最低音はカバーしてます。
30-40hzあたりでドアとサブウーファーがクロスしている状況を頑張って作るとかなり良いです。
そこで、調整支援の音源を作りました。
この動画を最後まで見て、音を鳴らしながら調整すると結構良い感じに仕上がっていくと思います。
3の、適切な音量のバランスを保つことですが、これはドアのミッドバスとサブウーファーが互いに支えあうようなイメージで、ちょうどいい音量を保たなくては成立しない、ということです。
ドアばかり鳴っていても、どうしても重低域の量感は少なくなりますしサブウーファーばかり鳴っていてもモコモコとした音が強調されるばかりで気持ちよくありません。
ドアでしっかりと音楽を再生し、その再生しきらない重低域を適切な音量のバランスで鳴らしていくのが自然な音質を再現するために大切です。
このように、なかなか無いカーオーディオの調整支援音源をYoutubeに投下していこうと思っています。ぜひ、
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