音楽が好きな方は、自宅のオーディオはもちろん凝ると思いますし、ヘッドフォンやその周辺機器もこだわりの機材を選んでお使いのことでしょう。
お車もお持ちの方でしたら、こだわりのカーオーディオを構築していることだと思います。
お店に任されるかたや、ご自身で構築される方、さまざまと思いますが、やはりこのブログにたどり着かれた方はご自身で組み上げたいタイプの方ではないかな、と思います。
ホームオーディオや、ヘッドフォンでのリスニング環境では、出てくる音の再現性を高めて、好みの音色のものを使って、ということが大切になりますが、
車のオーディオはそれだけではうまくいかないことはご存知ですか?
なかなか、お店でもこの領域の話に踏み込んでシステム構築しているところは少ないのではないかなと思います(少ないからAピラーにツイーターを埋めて耳に向けてる車が多い)
車は、目の前に大きいスピーカーを設置することが出来ません。また、左右のスピーカーの真ん中に座ることが出来ず、右チャンネルと左チャンネルの間に、
・距離の差
が生じています。
また、目の前に大きいスピーカーを設置できないということは、おのずと目の前に置けるのは小型である、ツイーターということになりがちです。ドアに低音の出るスピーカーを設置して、ということになりがちです。つまり、
・設置の高さの差
も生じています。
そして、フロントスピーカーだけで鳴らせない帯域はラゲッジルームに積んだサブウーファーで鳴らすことも多いとおもいますが、その場合には、
・位置の差
も生じています。
なので、カーオーディオでは音色の改善以外にも、
ステージの改善
というものを真剣にやらないといいシステムが作れません。
ステージの改善とはなにか、というと、
ソースに収録された音楽が、目の前で録音された環境のとおりに再生されるようにシステムを構築する、ということです。
スタジオ撮りのミックスであれば、スタジオの空気感が出るようにしたいですし、ライブ録音であればライブ会場の空気の感じを再現できるシステムを作る必要があるということです。
音色の改善ばかりに気を取られて、高級品を物量作戦で投入した結果、
ピラーに音が張り付いていて、こじんまりとした音が再生されるカーオーディオ
ダッシュボードの中央に小人がいて、そいつが歌っているかのような再生をするカーオーディオ
そのような環境にお悩みの方からご相談いただくことも多く、またこのブログに流入している検索ワードもそのようなのが多いです。
カーオーディオでも、自宅のオーディオでも、
音楽を楽しく聴きたい!という目標は同じだと思います。
また、どのような状態が楽しいのかというのは人それぞれですが、本物みたいに再現して聴けたら楽しい!という方は多いと思いますので、
そのような方には、音色の改善だけではなく、ステージの改善も重要なファクターであることをご理解いただいてシステム構築を始めていただくと、最低の予算で最高のカーオーディオを手にしていただけると思います。
まず、車特有のこととして、
・リスニングポジションとスピーカーの設置の位置が近い
という問題があります。
ダッシュボードにツイーターを設置した場合、強烈な高音がとても近いところから再生されることになるのですが、
通常、音楽を聴こうとするときにそのような、高域を目の前で鳴らすことはありません。
極端な話ですが、耳とツイーターの設置位置までの距離と同じ距離でシンバルを思いっきり叩かれたら、その人のことを叩きたくなりますよね。耳がピーン、となります。その日ずっと耳鳴りでしょう。
シンバルの音はツイーターで再生するかしないか、という問題はまた別問題ですが、
そんなに近くに、2wayシステムにおけるツイーターが設置されていては、向きも耳に向けてあっては音量が出せませんぜ、というのは当然のことです。うるさいということです。
では、どんなことをするとよいのでしょうか?
それは、もう潔く3wayを構築しよう、ということです。
2wayにおけるツイーターは受け持つ範囲も広く、またミッドバススピーカーとの設置の高さの差と位置の差が生じていて、音をハーモニーさせるのが難しいです。
高域ばかりが耳に直接突き刺さってくるために、音量が出せず、リアルなステージになりません。
音量が出せないので、小人がダッシュボードに居るような感じになり、音量を無理して出すとピラーに音が張り付いてステレオ感が無い、ということにもなりがちなのです。
車の3wayにおけるツイーターは、鳴らす帯域を狭くすることが出来ます。
超高域に限定できるということです。
超高域のみ鳴らす状態では、耳との距離が近くとも、苦しくなく聴けます。
また、3way化するわけですから、ミッドレンジスピーカーをダッシュボード上に設置することになります。
このミッドレンジスピーカー、非常に幅広い帯域を再生します。
車音人では、このミッドレンジスピーカーは「フルレンジ」で運用してもらいたいと、ずっと言ってきました。
適切な帯域で音を分割して、スピーカーごとに得意な帯域のみ鳴らさせることは、音色の改善を考えるうえで絶対に必要なことです。
しかしながら、車ではステージの改善も考慮する必要があります。
なので、車の3wayにおけるミッドレンジは、多少苦手な帯域が混ざっても、音を眼前に集めてくるためにフルレンジで運用した方がいいと思います。
フルレンジで運用すれば、音楽の成分のほとんどを目の前で再生することが出来ます。
ほとんどを目の前で再生することで、もはやこれだけで音楽は聴けてしまうわけです。目の前で再生しているわけですから、当然ステージの再現性も良好です。ドアのミッドバススピーカーには、ダッシュ上に設置したフルレンジスピーカーでどうしても再生しきらない低域を鳴らさせればよいです。
そうすると、音のつぎはぎをする帯域が目立たなくなり、設置の高さの差や位置の差も目立たなくなるのです。
このような感じでシステムを構築することで
・誰でも失敗しにくく、
・リアルな鳴りを手に入れる
ことが出来ます。
車のオーディオでは、音色の改善以外にもステージの改善も必要だよ!という話でした。
カーオーディオで音楽が気持ちよく聴けないなー、とお悩みの方に、今日のブログに関連する調整支援音源を試していただきたいです。
Youtubeでのコンテンツの投下を始めました。私オリジナルのコンテンツなのでもちろん他には無いです。
クルマ、という環境下で音楽を鳴らすために必要な要素を盛り込んだコンテンツなので非常に役に立つはずなので、チャンネル登録していただけると幸いです。
これは、自然の音を良質な録音環境で収録した音声を、どれだけリアルに鳴らすことが出来るかでシステムの完成度をはかっていただいたり、また、自然の音がどのような感じで不自然な鳴りになっているのか?というところを聴いて感じていただくことで改善点を見出していただきたい、という動画です。もしかすると上級者向けコンテンツかもしれません。
これは、カーオーディオで鳴らしにくいシンプルなボーカル曲を詰め込んだデータです。厚みのある声をした方が歌を歌いますので、
それが目の前で自然なステージの感じで再生されるかどうか確認していただけます。
人の声が不自然に聴こえる場合、その改善点も見出していただけると思います。
最後に、定位のチェック動画です。こんなのなかなか無いですよね。
余談ですが、昔から音楽に携わっている方はニヤニヤする話を
マイクのテストで、日本人は「本日は晴天なり」と言い。
アメリカ人は「イッツアファイントゥデイ」と言っていた理由です。
イッツアファイントゥデイ、には、「ッツ」という音、「ファ」という音、「トゥ」という音が含まれています。
これって、耳に刺さりやすい音だったり、マイクに息がかかってフガフガした音が出やすかったりするので、チェックの際にわかりやすくて良かったからですが、日本人はイッツアファイントゥデイを直訳してしまって、本日は晴天なり、と言っていたようです。本日は晴天なり、には母音はaiueo全部入っていますが、破裂させて発音する音や、息を多く含む音などが含まれていなくてあまり意味のないものだった、と言われます。
現在はライブの前とかで「ふぇーーーーー」「すぇーーーーーー」「ふっふっ」等、謎の発音をしている時がありますが、
あれはすべて、マイクの調整であって、楽しく音楽をきくための調整です。
車のオーディオにおいては、スピーカーの設置環境が特殊であるために、あのくらいのオーディオチェックと調整を施すとかなりいいシステムになると思うんですよね。
そんな、役に立つような調整支援音源を出していこうと思います。